中島らも『人体模型の夜』

人体模型の夜 (集英社文庫)

人体模型の夜 (集英社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
一人の少年が「首屋敷」と呼ばれる薄気味悪い空屋に忍び込み、地下室で見つけた人体模型。その胸元に耳を押し当てて聞いた、幻妖と畏怖の12の物語。18回も引っ越して、盗聴を続ける男が、壁越しに聞いた優しい女の声の正体は(耳飢え)。人面瘡評論家の私に男が怯えながら見せてくれた肉体の秘密(膝)。眼、鼻、腕、脚、胃、乳房、性器。愛しい身体が恐怖の器官に変わりはじめる、ホラー・オムニバス。    ――Amazonより

誰かの書評を読んで面白そうだと思い借りてきたのだけど、すでに読んだ事があったらしい。
記憶に残ってた筋(というよりオチ?)は、この本が元だったのだという新鮮な驚きがいくつか。特に“はなびえ”は、かなりはっきり覚えてた。怖ぇ。
そういうストレートにホラーチックなものだけじゃなく、因縁なのか偶然なのか判断できない据わりの悪さとか、事件だけ起きて終わってしまう探偵のいない推理モノのような割り切れなさとか、そういう怖さのものもある。
“ピラミッドのヘソ”なんて、うがった見方をすれば大掛かりな殺人事件にもなり得るんじゃないのか。財産目当ての。怖いって言うか、気持ち悪さが秀逸。