「ぐるりのこと」梨木香歩

ぐるりのこと

ぐるりのこと

なんの予備知識もなしにこの題を見たとき、「ぐるり」というのを地域限定の土着の妖怪だと思ったのは、まず間違いなく京極夏彦のせいだろう(笑)
正解はだいたい「周り」という意味。「世界」と書いて「ぐるり」とルビをふる感覚。自分を取り巻くぐるりのことを、深く考えたエッセイ。
絶望に似た哀しみ、寄る辺のない不安と孤独、それらを知った上での明るい諦念。
この人は、言葉というものの力と危うさをよく分かっている人なのだと思う。分かりにくい文章になっているのはそのせいもあるのだろう。読み解くようにして深く読むのがいいかもしれない本でした。
巻末に梨木香歩の本の紹介があったのだけど、「家守綺譚」の紹介文に感動。
庭池電燈付二階屋、草花鳥獣河童小鬼亡友等豊富。
これを考えた人、凄い。