菊地秀行『D‐邪王星団1―吸血鬼ハンター〈12〉 (ソノラマ文庫)』全四巻 吸血鬼ハンターDシリーズ

とりあえず楽しければいいシリーズは、だいたい楽しければどうでもいいんだけど、今回は正直微妙だった。以下、ネタバレ?&辛口につき隠し文字

えーと、伯爵? その人とは前に会ってるから。なにその初対面な言動。記憶喪失? そんな描写あったっけ? ――という場面が四巻に。巻をまたいでるならともかく、同じ一冊の中でこの矛盾ってどうなの。担当とか編集者とかって、そういうのをチェックするのも仕事なんじゃないの? 誰も通して読まないのかね。
まあ、それは初版本の醍醐味ってやつかもしれないのでいいとしても。
あのラストは……力技なのはともかく、反則じゃないのか? あの手段が使えてしまったら、もうこの先オハナシにならないと思うのだが。
反則と言えば、Dの不死身っぷりはもともと反則だけど。左手のおかげだし。
それに、雰囲気がだんだんこのシリーズっぽくなくなっていくのがなんとも。守るべき相手が魅力的じゃないし、守ってるはずの相手が何度も敵の手に落ちてるってのがオカシイでしょ。
しかし、左手が働き者でステキ。本当に、巻を追うごとに左手の活躍が増えてる。間違いない。Dより働いてるかもしれないよ。
Dと左手の出会いには興味があるけど、Dの出生の秘密については思わせぶりに小出しにしてるだけで充分です。個人的には。
これも結構突っ込んで書いてたし、あの後書きがまた……。

今後の展開に一抹の不安を抱いての読了でした。