奈須きのこ『空の境界』上・下

空の境界 上 (講談社ノベルス) 空の境界 下 (講談社ノベルス)

二年間の昏睡から目覚めた少女・両儀式が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を視ることのできる“直死の魔眼”。浮遊する幽霊の群れ。人の死を蒐集する螺旋建築…。この世の存在のすべてを“殺す”、式のナイフに映る数々の怪異。非日常の世界は、日常の世界と溶け合って存在している―。―あの伝説の同人小説の講談社ノベルス化が満を持して成就。
   ――セブンアンドワイより

うーん……なんとなく、微妙。↑を読んで、好きそうな設定だと期待していたのだけど、思っていたのと全然違うし。
――というのは『心霊探偵八雲』の時も思ったけど、これはあのときほどムカつきはしなかった。ようは合わなかったって事かな。文章の組み立て方とか、章立ての仕方とか。
そもそも、一読しただけでは意味が通じない難解な文章は苦手なんだよ。内容が、というより、文章がややこしい。一人称なのはいいとしても、視点も場所も時間も頻繁に飛ぶし、難しい単語とややこしい言い回しと過去の事柄を確認も補足も噛み砕きもなしで流されてしまったりする。付いて行こうとするとのめりこめないから、謎の提示と解明に対する興味が薄くて、解明を待たずに謎の部分だけでワケ分かんねーよって気分になる。合わないってのはそんな感じ。
ああ、どうなのよ、と思った事もある。主人公が着物姿であるコト。
ポリシーと言われてしまえばそれまでだけど、それについてはろくに書かれてない。ヴィジュアルの為に付加された特異点だとしたら、必然性は皆無でしょう。戦う人なのに、それってアリ?
逃げようとした男にハイキックを決めてたけど、着物でソレは不可能だと思うのデス。
それと、解説があんまりだった。上巻の解説でぐったりしてしまったので下巻の解説は読んでないのだけど、あれは伝奇モノの歴史の講釈であって作品に対する解説じゃないよ、絶対。