完璧な病室・読了
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/11/01
- メディア: 文庫
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- 完璧な病室
- 揚羽蝶が壊れる時
- 冷めない紅茶
- ダイヴィング・プール
以上四編の短編集。
この人の書く文章は、一見透明で薄い硝子のような印象を受ける。脆くて、硬質で、透き通っている。
同時に、ひどく有機的な感触がある。それは不定形で不透明の、生き物の体温を持った勁さで、だからどちらに片寄るかでずいぶんと印象が違う。と思う。
「完璧な病室」と「冷めない紅茶」がどちらかというと硝子質で、「揚羽蝶〜」と「ダイヴィング〜」が有機質といった感じだろうか。
以前読んだ「博士の愛した数式」と「密やかな結晶」も硝子質で、淡々として静かで、個人的にはこちらの方が好みではある。