迷子

昨日の事。仕事でミスをやらかした。
自宅に持ち帰って翌朝配達の品につける札が間違っている事に、帰ってから気付いたのだ。
札の作成は店でなくては出来ないが、幸い時間はなくもない。
取り返しのつく失敗なら取り返すべきだろうと、少し早起きをして店に向かった。車で一時間半もあれば往復できるはずだった。
――が。
帰り道、右折するべきところで右折レーンに入りそこね、直進してしまったのである。直進とはいっても微妙に曲がりくねっている上に狭い道で、Uターンもできやしない。
このまま道なりに行けば知っている道に出るんじゃなかったかなぁと思ったのが運の尽き。あれ? と思ったときには自分がどこにいるのか分からなくなっていた。
紛う事なき立派な迷子である。
時間にあまり余裕はなく、道も混んで来たので引き返していては間に合わない。
急いでいる時に焦ったり、焦ってる時に慌てたりすると、ますますろくな事にならないのは経験上良く分かっているので、こういう時は無理矢理落ち着く。
慌てたり焦ったり泣いたり喚いたりしないとなると、何故か笑いたくなる。
困った事態の最中に笑うってのも変なのだが、なんかもう笑うしかないような気になるのである。ここはどこ? 私は誰? の状態では笑うしかないではないか。
とはいえ笑っているだけでは事態は改善しないので、携帯で地図を見てみた。
……使えねぇ。
GPSで居場所は分かったが、画面が小さすぎて自分の回りほんの少ししか表示されない。縮尺を変更すると、大きい道しか表示されなくなるので余計分からない。そもそも自分がどっちの方向を向いているのかすらもう分からない。
これ以上迷っていては本当に間に合わないという時点で、父に救援を求めた。
どこにいて、どっちの方を向いているのか分かっていない人間に道を教えるのは大変に難しかったらしい。
まあそうだろうとも。まず私がどこにいるのか把握するのも大変だろうさ。
まあどうにか間に合ったけれども、終始笑いたいような気分だったのはどうだろうかね。
困った事態を引き起こした張本人がへらへら笑ってる訳にもいかないので、真面目に謝りましたが。
一生懸命怒るのを我慢してくれたお父さんに、ここで懺悔します。
実は笑いたい気分だった。……ゴメンナサイm(__)m