アニメ・ゲド戦記

ゲド戦記 特別収録版 [DVD]

ゲド戦記 特別収録版 [DVD]

観てまいりました!
えーと……歌がステキ。なんつって(笑)
以下、辛口&ネタバレに付き隠し文字。ドラッグしてお読みください。

なんていうかねぇ……三巻をベースにしたってことだけど、一巻のテーマ(もどき)と二巻に関係する台詞(云々)と四巻の人物(とエピソード)と、あれこれ詰め込みすぎかな。もっと狭い範囲に焦点を当てて、きちんと書き込むべきじゃなかったかと思う。
原作未読の友人に言わせると、大筋はともかく細部はサッパリとのこと。そうでしょうともさ。ロークのアチュアンのって言ったって、知らない人は分からないでしょうよ。
知っている人にしか分からない事柄は、取り扱いに注意が必要だと思うのです。知らない人は流すだけで知ってる人はニヤリとする、そういう風に巧く使うべきだと。
たとえばだけど、テナーの過去を思わせるシーンはなくて良かったと思うね。そうすれば、知らない人は「ゲドの昔なじみなのね」で済むし、知ってる人は「昔こんな事があったのよね」と内心ニヤリとするでしょうに。気にさせるだけ気にさせて結局分からないってどうなの。
それと、知らない人にも伝えておかなきゃいけないことが、ちゃんと伝わってるのかも疑問でしたね。そのへんの情報の取り扱いが下手だといっていいように思う。
原作と映画は別物だと思ってるし、内容が違うのは許容範囲。原作の方が映画よりいいのは大概そうだから、それも気にしない。映画の良さは別のところにあるのです。
でも、既読の人に「未読の人は分かるんだろうか」と思わせる映画は、いい映画とは言えないと思う。たとえ未読の人に分からなかろうと、いい映画ならそんなことは気にならないもの。少なくとも見ている間は。
それと、気になったのは世界の狭さ。村があって街があってすぐそこにクモの館があって、それで全部、みたいな。いちおう海も砂漠も草原も出てくるのに、それが繋がってひとつの世界って感じがしない。
長旅してるようには見えませんよ。旅と若者の成長はセットで重要でしょうに。あんなふうに言葉で諭されて悟っちゃうのではなく。
だいたい、アレンが暗いっ! 暗すぎるっ!!
あそこまで別人にしてしまうなら、アレンがアレンである必要なんて皆無だと思うぞ。むしろオリキャラにしちゃったほうが、原作ファンの怒りを掻き立てずに済んだのではないかと。
原作ファンの方の怒りの評価をいくつか読みましたが、分かる気はします。
私は原作大ファンて訳でもないので、さほど怒りを掻き立てられはしなかったけど。さして期待もしてなかったしね。
それでも見ておかなきゃいけないような気がするのが、ジブリアニメの魔力(笑)

うーん……きれいにまとまったけど、まだ言いたい(笑)

CMでも使われている「命を大切にしないやつなんて、大っ嫌いだ!」ていうあの台詞、あのシーンで言うのはなんかおかしくないか?
それより前に二人が会ったのは、テルーが奴隷狩りに捕まりそうになってアレンが助けたあのシーンだけで、確かにアレンは「死んでもいい」だか「殺してみろ」だか言ってるんだけど、思いっきり反撃してるじゃないですか。しかも剣を抜かずに。そのうえ強いし。
剣が抜けないなんて、傍目に分からないでしょうよ。それを踏まえて客観的に見るとですね。
大の大人に囲まれても剣を抜かず、悪党といえども徒に命を奪う事をせずに、危地にあった少女を助けた――という事になりませんかね?
となると、「やってみろ」なんて台詞は余裕とも脅しとも取れるわけで。
命を大切にしていないようには見えませんね? ふふふ。
そうそう。その奴隷狩り部隊のボスでクモの配下、ウサギ。クロトワだ、クロトワがいる! と思ったのは、たぶん私だけではないはずだ。
個人的にはクモさんがお気に入り。平淡な、つぶやくような話し方なんだけど、含み笑いと冷酷さと傲慢さが表れていたような気がするの。人を見下したような薄ら笑いがステキ(←悪趣味)

とまあ、そんな感じでした。
……相変わらず、褒めるより貶す方が饒舌なワタシ(沈)

ゲド戦記、なんかすごいことになってるのねのコト

追記です。書き込みしてからリンクを辿ってふらふらしてたら、こんな記事を見つけました。吾郎さんを擁護してます。ほぼ正論だと思われます。拍手。
酷評されてるのは知ってたけど、なんか一部では変な方向に大変なことになってるのですね。
私だってあれこれ文句付けてるうえに、わざわざ観に行くこともない感じーなどと周囲に漏らしてるんですけど。でも、見もせずに批判するのはどうなのと、それはそう思う。
それから、作品の批評と個人の非難はごったにするべきじゃないでしょう。
ワタクシ的には吾郎さん、今後に期待、なのでした。
ただ、ずっと映像化を拒んできたという原作者の思い入れを考えると……反応が気になります。