真保祐一『発火点』読了

発火点 (講談社文庫)

発火点 (講談社文庫)

十二歳の夏に父を殺されてから、怒りと苛立ちを胸に一人で生きてきた。親を殺された者を見る、好奇の視線に抗うように。あの夏に何があったのか。なぜ父は友人に殺されたのか。二十一歳の今、敦也はなくした九年を埋めるために再び故郷を訪れる。胸に迫る衝撃の真相。著者の心情が強く投影された、魂の軌跡。
   ――裏表紙より

基本的に真保祐一は好きなのだけど、これはちょっと駄目。疲れたぁ。
主人公にまるで共感が持てなかったのは、私があまりにも彼が憤っていた世間の側の人間だから、かもしれません。
最初はそれでいたたまれないような気にもなったのだけど……とにかく、暗い。ひたすら暗く苛立たしい心情を吐露するばかりの前半部。引きずられてこっちまで鬱々としていたら、彼は勝手に立ち直って過去を調べ始めました。
この明暗の差は何なのか。
立ち直った契機が微妙に曖昧で納得いかず、こっちは鬱々とした気分を引きずったまま。謎が解明されればスッキリするかと思いきや、そっちもなんだか微妙に曖昧。なんだかなぁ……。